同訓異字語(どうくんいじご)
日本語には読み方が同じでも違う意味を持つ漢字が多くあります。外国の日本語を学ぶ人にとってはもっとも難解な部分のひとつかも知れません。
たとえば「はかる」と読む漢字は
「計る」「測る」「量る」「図る」「謀る」「諮る」などがあります。
それぞれの意味は
①「計る」・・数量や時間を調べ数えること。
②「測る」・・高さ、長さ、広さ、深さなどを調べること。
③「量る」・・体積や重さなどを調べること。
④「図る」・・いろいろなことを試みること。計画すること。「企図(キト)」
⑤「謀る」・・策略をめぐらすこと。だますこと。「陰謀(インボウ)」
⑥「諮る」・・ある問題について専門家に意見を聞くこと。「諮問(シモン)委員会」
これらは、①~③は客観的事実、④~⑥は人間の意志の結果、というふうに2種類に分けることもできます。つまり古来、漢字が渡来する前の字というものがなかった時代の日本の大和言葉(やまとことば)には「はかる」の二つの意味が存在していたと私は考えます。
それが、漢字が渡来したことによって、以前からあった大和言葉の「はかる」の意味を広げる結果となったのかもしれません。漢字と大和言葉の融合(ゆうごう)とかんがえてもいいのではないでしょうか。
この中では重複して用いるものもあります。
「計る」+「測る」 →「計測」(いろいろな機械を使ってものの値をはかること。)
「測る」+「量る」 →「測量」(地表の一部分の位置、形、面積などを精密に測定する作業)
また、人の心を「はかる」ときにはどの漢字をつかうでしょうか?
よく「相手の考えを推(お)し量る。」というような使い方をします。これを漢字熟語で表せば今国会でよく聞く「忖度(そんたく)」ということになるのでしょう。