「じゅんしゅ」で「遵守」と「順守」正しい漢字はどっち?
「じゅんしゅ」と読む漢字で「遵守」と「順守」がありますが、どっちが正しいと思いますか?
実はどちらも正しい漢字です。ただし、厳密に言うと
官公庁などの文書は・・・「遵守」
テレビ・新聞は・・・・・「順守」です。
日常ではどうしてもテレビ・新聞の「順守」が目に付く機会が多いのではないでしょうか。
実はこの「遵」という漢字は歴史の波に翻弄された、悲しい漢字なのです。
前回にたしか「当用漢字」と「常用漢字」の話をしましたよね。
戦後進駐軍のときに、将来、漢字を廃止するまでのつなぎとして制定された「当用漢字」でした。1850字の漢字ですが、その後1954年(昭和29)に国語審議会が審議した「当用漢字補正試案」(資料)なるものを出します。
その「当用漢字補正試案」なるものの中に、将来、なくすべき漢字28字がありました。「遵」の漢字もそのなかにあったのです。
テレビ・新聞はこの「当用漢字補正試案」に敏感に反応して「遵守」を「順守」に書き換えました。
しかし、官公庁は「当用漢字補正試案」はあくまでも試案であり、あくまでも現用の「当用漢字」が根拠として「遵守」のままとしました。
時は移って、1981年(昭和56)GHQの呪縛(漢字廃止)から抜け出て、やっと「常用漢字表」ができました。当用漢字1850字をそのままに、新たに95字を加えて1945字なりました。
つまり、消されるはずだった「遵」の字は消されること無く生き残ったのです。
しかし、テレビ・新聞業界は「順守」を四半世紀近くも使ってきたので、もと戻すことなく今後も使うことを決めました。官公庁はなんら問題なしと「遵守」を使っています。
お解かりいただけましたか。
どちらでも、ほとんど意味は同じです。厳密にはまったく同じではありません。興味のある方は調べてみるのも面白いでしょう。
次回は、常用漢字表にある難しい漢字「璽」(読み方:ジ、しるし)についてです。こんな難しい日常ではほとんど使わない漢字が何で常用漢字表の中にあるのか。これも歴史が深く絡んでました。
<いつもの会話>
(鬼女房)「あなた!ちょっと出かけてくるからしっかり留守番(るすばん)
しててよ!」
(宿六) 「またかよ。あんな派手な着物着きて(ぶつぶつ・・ついでに顔も隠せ)」
(鬼女房) 「♪~♪~」
<夜遅く鬼女房帰宅、鬼女房びっくりして>
(鬼女房)「あんた!なに酔っ払ってんのよ!」
(宿六) 「しっかり~、るしゅばん(留酒番)してま~した。ういっ。」
(鬼女房)「き(鬼)き(鬼)!!」