morinokobito77’s blog

「漢字」と「かな」の面白さ

「菖蒲」(しょうぶ)のはなし

6月といえば「菖蒲」の季節ですね。

ところで、あなたは「しょうぶ」「かきつばた」「はなしょうぶ」「あやめ」の区別がつきますか。日本人ならそこらあたりは押さえておきたいものですね。東京オリンピックのときに来た外人さんにも説明できるように。

 

それぞれを漢字で書くと

「しょうぶ」・・「菖蒲」(5月の節句に飾るもの サトイモ科)

「かきつばた」・・「杜若」「燕子花」(水辺に咲く 紫と白色だけ アヤメ科)

「はなしょうぶ」・・「花菖蒲」(観賞用 多彩な品種あり 水辺近く アヤメ科)

「あやめ」・・「菖蒲」「綾目」「文目」(陸地に咲く 紫色まれに白 アヤメ科)

となります。日本人は古来からこれらの花をひっくるめて「菖蒲」(しょうぶ)と読んでいたような気がします。

 

ただし、5月の節句に飾る「しょうぶ」はサトイモ科で他の花とはまったく違います。花もがまの穂みたいな花が咲きます。それ以外はアヤメ科です。

 

他のアヤメ科3種の花の見分け方

① 水辺か湿地に咲いていたら「かきつばた」か「はなしょうぶ」紫色一色なら「かきつばた」の可能性大

② 陸地に咲いていたらほとんど「あやめ」ただし最近は外国系もあるので注意

③ 花びらの根元が黄色なら「はなしょうぶ」、白色なら「かきつばた」、ちなみに「あやめ」は網目(綾目)模様

これでほとんどの区別はつくと思います。ご理解いただけましたか。

 

その中でも、日本人は昔から「かきつばた」の花を愛でてきました。

藤原業平の「伊勢物語」にも「かきつばた」を読み込んだ

ら衣 つつなれにし ましあれば るばる来ぬる びをしぞ思う」

(唐衣を着なれるように、なれ親しんだ妻が都にいるので、はるかここまでやって来た旅のつらさを身にしみて感じることだ。)の歌があります。

 

また江戸時代の絵師 尾形光琳の屏風絵「燕子花図」(国宝)は日本人の心を代表する作品でしょう。

それに、どちらも美人で優劣がつけづらいことを「何れ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた)」ともいいますよね。

 

「はなしょうぶ」も話せば長くなるのでまたの機会に。今日はこのへんで。

 

(??)えっ、うちの女房は「あやめ」と「かきつばた」のどっちかって?

そりゃ「はなしょうぶ」ですよ。

(女房 照れ笑い)

なんたって鼻のでかさで勝負してますから。

(びゅ~ん ゴン(ものが飛んできて当たった様子))

 

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写真は「かきつばた」