morinokobito77’s blog

「漢字」と「かな」の面白さ

「寂しい」と「淋しい」

「寂しい」と「淋しい」

どちらも読み方は(さびしい/さみしい)

漢字を見ると

「寂」は「叔」と「家」からなり、家の中の人の声が細く小さくなった様子。

「淋」は「林」と「水」からなり、絶え間なく水の滴る様子。

のようです。ではその使い分けは?

「寂しい」・・・客観的なさびしさ、物静かな様子、景色が荒れている様子

「淋しい」・・・主観的なさみしさ、泣けてくるような自分の気持ち

恋人が離れてさびしいときには「淋しい」を使うのが涙も連想していいのかも。

それじゃ、(さびしい)と(さみしい)の違いは?

(さびしい)には二つの意味があるらしい。

  ①心に隙間があってそれが満たされない気持ち(感情的)

  ②物音や人の気配がなくひっそりとした状況(客観的)

①の場合には(さみしい)も使えるが、②の場合たとえば「さびしい街並み」のような場合には(さみしい)は使いにくいです。

小説家に言わせると、女性が恋人を恋焦がれているときの表現としては「あの人がいなくて淋しい。」より「あの人がいなくてさみしい。」のほうがしっくりくるとか。

「漢字」から(ひらがな)を作り出した日本人。その(ひらがな)に漢字を超える表現力があるというのは、これまた日本文化の奥深いところなのかも知れません。

ちなみに、現在の新聞や公文書、学校などでは、「淋しい」は常用漢字表にはないため、すべて「寂しい」が用いられるようです。

 

つづく